看護師の労働環境の現状とその原因
看護師の働き方改革は難しいとされています。それは看護師の労働環境に問題があり、一番の課題は人手不足です。看護師の就労人数は、2000年には約76万人だったのが2020年には約101万人となり増えているのですが、それ以上に需要が高いため供給が追いついていません。厚生労働省によると、2025年には看護師の需要は約200万人にもなると見込まれているのですが、現在のペースで順調に増加していったとしても約193万人と、人手不足はより深刻化することが予想されます。
この人手不足の原因の1つとして挙げられるのは、「離職率の高さ」です。公益社団法人日本看護協会の2018年の調査結果では、看護師の離職率は10.9%であり、中でも新人看護師は7.5%でした。他の職業と比べて特別高いというわけではありませんが、人手不足の大きな原因となっていると言えるでしょう。それでは、どのような理由が離職の原因となっているのかというと、「仕事の大変さ」や「ワークライフバランスを保ちにくい」などが挙げられます。1人が抱える業務量の多さや、夜勤で生活リズムが乱れやすいこと、またシフト制で決まった日に休みを取りにくいことなどが、結婚や出産などの生活の変化に対応できなかったり、体調を崩してしまったり、職場への不満につながり、その結果離職となってしまうのです。
看護師の人手不足が続くと、看護師が受け持つ患者の人数が増えてしまいます。受け持つ人数が増えるほど患者1人1人に割ける時間が少なくなるため、ケアが十分にできなくなり医療ミスが発生しやすくなるというリスクが高まります。また看護師のストレスも高まり、離職が増えるという悪循環に陥ってしまうのです。看護師の働き方改革を進めるには、人手不足という問題の解決が急務といえるでしょう。